横断歩道の向こう側 君は小さく手を振って
帰ってゆくぼくを 見送ってくれた
日暮れの交差点 ラッシュアワーの人混みに
跳び出すように渡ってゆく ぼくの悪いくせ

少し意地悪して 「じゃあね」と不意に飛び出して
点滅するシグナル 赤に変わるその前に
引き返して君の細い肩 もう一度抱きしめた
今にも泣き出しそうに それでも君は笑ってくれた

横断歩道の向こう側 振り向いたら君がいる
ぼくの姿を見失って 不安そうに立っている
手を振ることもできずに 悲しそうに立っている
ここだよって引き返そうとして ふと立ち止まった

ぼくたちはいつもふたりで 歩いて来たね
今日から明日へ そしてまた次の日へと
季節をくぐりぬけるように
肩を並べて こんふうにここまで 歩きつづけたね

もう二度と君に会えないこと 分かっているつもり
君も必死にそれを 分かろうとしているんだね
ぼくをさがす君の目に 涙があふれて頬をつたい
いくつもこぼれて 落ちてゆく

引き返したいけど そうすれば余計つらくなる
だからこのままぼくは 歩いて行くよ
引き返したいけど そうすれば間に合わなくなる
だからこのままぼくは 歩いて行くよ

もうぼくは行かなくちゃ もうぼくは引き返せない
もうぼくは行かなくちゃ もうぼくは引き返さない