おやじはたぶん さびしかったんだと思う
おやじはたぶん  たたかっていたんだと思う
いつも黙っていたけれど
いつも何かを聞いていた
激しくぶつかり合う波の音
泣き叫ぶように吹きすさぶ風の音
おやじはたぶん 自分を叱っていたんだと思う
おやじはたぶん  自分を奮い起たせていたんだと思う

おやじはたぶん  何か言いたかったんだと思う
おやじはたぶん  胸に仕舞っていたんだと思う
いつも黙っていたけれど
いつも何かを見ていた
激しく地面をたたく雨のつぶ
闇の空を切り裂いて走る稲妻
おやじはたぶん  こぶしを握りしめていたんだと思う
おやじはたぶん  死ぬ気で生きていたんだと思う

腕を組み はるか彼方をいつも見つめていた
何かを守り抜いて誰かに引き継がせて
いつかたどり着くはずの 安らかなオアシス

おやじはたぶん  嬉しかったんだと思う
おやじはたぶん  安心したんだと思う
いつも黙っていたけれど
いつも何かを祈っていた
自分の前に私を立たせ後ろから
「頼む」と一言 肩をたたいてつぶやいた
おやじはたぶん  それだけを言いたかったんだと思う
おやじはたぶん  そのためだけに生きていたんだと思う

HMU 達弥西心